アメリカで特許を取りたい企業へ|出願方法・費用・注意点とルートの選び方

アメリカへの特許出願で最初に整理したい3つのルート

 

アメリカへの特許出願では、最初から手続きの細部を調べるより、「どのルートを使うか」を整理する方が判断しやすくなります。代表的なのは、パリ条約に基づく出願、PCT国際出願を経由する方法、米国の仮出願です。

まず、自社の状況を次のように分けて考えてみてください。

  • 米国を中心に出願したい場合:日本出願を基礎とした米国への直接出願を検討
  • 米国以外にも複数国を検討している場合:PCT国際出願を含めて検討
  • 出願国をまだ決め切れていない場合:PCTによって判断時間を確保できる可能性を検討
  • 米国で早く出願日を確保したい事情がある場合:仮出願を含めて検討
  • すでに日本で出願済みの場合:出願日と優先権に関する期限を最優先で確認

どの方法にも向き不向きがあります。「米国出願なら必ずPCT」「費用を抑えるなら必ず直接出願」と一律に決めるのではなく、対象国数や出願時期、事業計画まで含めて判断することが重要です。

米国だけを重視する場合に検討しやすいパリルート

日本で先に特許出願し、その出願を基礎としてパリ条約上の優先権を主張しながら米国へ出願する方法は、代表的な選択肢の一つです。

一般に、特許の優先権を利用する場合は日本での最初の出願から12か月という期限を意識する必要があります。米国への出願方針を考えている段階で日本出願からすでに数か月経過している場合は、残された時間を確認してから進める必要があります。

米国だけを海外展開先として考えているケースでは、PCT国際出願を経由せず米国へ直接出願する方法も比較対象になります。PCTを利用するための手続きが加わらない分、手続き全体の構成がシンプルになることがあります。

ただし、「米国以外には絶対に出願しない」と早い段階で決めてよいかは別の問題です。今後、中国や欧州などへ展開する可能性がある場合は、将来の選択肢まで考えて判断する必要があります。

複数国への展開や判断猶予を取りたい場合のPCTルート

PCTは、一つの国際出願を起点として、後から米国を含む各国で特許取得の手続きを進めるために広く利用されている制度です。

米国、中国、欧州など複数地域で事業展開を予定している企業や、「海外出願はしたいが、具体的な国をまだ決め切れない」という場合に検討しやすい方法です。最初の段階ですべての国へ個別に出願するのではなく、国際出願を経由することで、その後の各国移行について検討する時間を確保できます。

ただし、PCT自体が世界共通の特許権を与える制度ではありません。最終的には米国など権利を取得したい国・地域で国内段階へ進み、それぞれの国の審査を受けます。

そのため、対象国が米国だけと明確に決まっている場合には、パリルートによる直接出願とPCTを利用する場合の手続きや費用を比較して判断する必要があります。

米国特有の仮出願を検討する場面

米国には、一般に「仮出願」と呼ばれる制度があります。通常の特許出願へ進む前段階として利用されることがあり、米国特有の制度としてよく検索される手続きです。

特に、開発競争が速く、早い段階で出願日を確保する必要がある場合などに検討されることがあります。

一方で、「仮」という名称から、簡単な資料だけ出しておけば後から自由に内容を補える制度だと考えるのは注意が必要です。後の権利化で重要になる技術内容が最初の出願に十分記載されていなければ、期待した範囲で早い出願日の利益を得られない可能性があります。

仮出願を使うかどうかは、開発状況、公開予定、通常出願へ進む時期などを踏まえて検討することが大切です。

パリルートとPCTルートで迷ったときの選び方

 

パリルートとPCTのどちらが適しているかは、単純な優劣では決まりません。重要なのは、「何か国に出願する予定か」「いつまでに国を決められるか」「予算をいつ投入できるか」を整理することです。

米国だけか複数国かで変わる出願ルート

現時点で米国のみへの出願を予定しているのであれば、米国への直接出願を中心に検討しやすくなります。

一方、米国に加えて中国、欧州、カナダなど複数の国・地域を検討している場合は、PCTを利用する意味が大きくなることがあります。海外事業の市場性や製品展開を確認してから進出国を絞りたい企業にも、検討時間を確保できることは一つの利点です。

ただし、対象国が多いからといって必ずPCTが有利になるとは限りません。各国へ進む際にはそれぞれ費用が発生するため、最終的な出願国数まで考えて計画する必要があります。

事業計画と特許出願を別々に考えるのではなく、「どの市場で事業を守りたいか」から逆算することが重要です。

日本出願からの期限を踏まえた判断

日本ですでに出願している企業が最初に確認したいのが、日本出願の日付です。

パリ条約に基づく優先権を利用して米国へ出願する場合、一般には日本での最初の出願から12か月以内という期限が重要になります。また、PCTを利用する場合も最初の出願との関係で期限管理が必要です。

たとえば、日本出願から11か月経過してから米国進出を検討し始めた場合、比較検討に十分な時間が残っているとは限りません。翻訳や出願書類の準備にも時間が必要になるため、「12か月の直前に決めればよい」と考えず、早めに方針を確認する方が安全です。

逆に、日本出願直後であれば、市場、出願国数、予算を整理しながら比較する時間を取りやすくなります。

費用だけで決めないための比較ポイント

海外特許出願では費用は重要ですが、最初の出願費用だけを比べて決めると、後になって判断を変えにくくなることがあります。

判断するときは、次のような条件をまとめて考えることが大切です。

  • 出願予定国は米国だけか、複数国か
  • 日本で最初に出願した日はいつか
  • 海外事業を開始する時期はいつか
  • 出願国を確定できる時期はいつか
  • 翻訳や各国代理人を含めた予算をどの時期に用意できるか
  • 製品や技術を展示会、営業資料、Webサイトなどで公開する予定はあるか

特に海外展開では、特許出願の判断と事業計画が密接につながります。出願費用だけでなく、「いつ、どの国で事業を守る必要があるのか」という視点で検討することが重要です。

アメリカへの特許出願にかかる費用と出願後の負担

 

米国特許出願にかかる費用は、一つの料金だけで決まるものではありません。出願時だけでなく、翻訳、現地代理人、審査対応、登録後まで含めて考える必要があります。

材料となる技術内容や明細書の分量、出願ルート、審査経過によって費用が変わるため、具体的な総額は個別確認が必要です。

出願時に発生する主な費用の内訳

米国特許出願を検討するときは、「出願費用はいくらか」だけではなく、何に費用が発生するのかを把握しておくと判断しやすくなります。

主な費用として考えておきたいのは、出願書類の作成、英文への翻訳、USPTOへ支払う庁費用、米国側代理人に関する費用、日本側での出願支援に関する費用などです。

日本で作成した明細書を基礎として米国へ出願する場合でも、単純に日本語を英語へ置き換えるだけとは限りません。技術内容や権利化方針を踏まえ、適切に伝わる英文にすることが重要です。

そのため、見積もりを確認するときは、金額だけを見るのではなく、どの作業まで含まれているのかを確認してください。

審査・拒絶対応・登録後まで見据えた費用

米国特許出願では、出願した時点ですべての費用が確定するわけではありません。

審査の過程でOffice Actionと呼ばれる通知を受け、その内容に応じて意見書や補正などの対応が必要になる場合があります。その際には、米国側代理人や日本側での検討・対応に追加費用が発生することがあります。

さらに、登録まで進んだ場合も、その後の手続きや権利維持に関する費用を考えておく必要があります。

したがって、米国出願の予算を立てる際には、「出願までの費用」と「出願後に発生する可能性のある費用」を分けて確認しておくことが重要です。

見積もり前に整理したい確認事項

見積もりの精度を高めるためには、相談前に一定の情報を整理しておくとスムーズです。

特に確認しておきたいのは次の内容です。

  • 日本で出願済みか、まだ出願していないか
  • 日本で出願済みの場合、その出願日
  • 米国以外に検討している国や地域
  • 技術内容が分かる資料や既存の明細書の有無
  • 展示会、販売開始、Web公開など今後の公開予定
  • 海外事業を始めたい時期
  • PCT出願済みの場合、その出願情報

情報がそろっていなくても相談はできますが、特に出願日や公開予定が分かると、期限を含めた方針を検討しやすくなります。

アメリカ特許出願で注意したい日本との違い

 

米国へ出願するときは、日本で作成した書類をそのまま英訳して提出すれば終わり、というわけではありません。米国特許制度を踏まえた対応や、現地代理人との連携まで考える必要があります。

英文明細書と翻訳品質の重要性

特許明細書の翻訳では、読みやすい英語にするだけでは十分とは限りません。重要なのは、発明の技術的内容と権利として守りたい範囲が適切に表現されることです。

特許文書では、一つの表現の違いが権利範囲の解釈に影響することもあります。そのため、技術内容を理解したうえで、日本語明細書と英文の対応関係を確認することが大切です。

開口国際特許事務所では、発明の体系的把握と日本語表現力に加え、国際出願では日本語から英語への翻訳対応も行っています。特許出願では翻訳作業を独立して考えるのではなく、「どの発明を、どのような権利として守りたいか」と一体で検討することが重要だと私たちは考えています。

米国代理人との連携と日本側の役割

米国で特許手続きを進める場合、現地制度に対応するため米国側の代理人との連携が必要になるケースがあります。

日本企業にとって負担になりやすいのは、「米国代理人へ何を伝えればよいのか」「英語で直接やり取りしなければならないのか」という点です。

日本側の特許事務所を通して進める場合には、発明内容や日本出願の経緯を整理し、米国側の代理人と連携しながら手続きを進める方法があります。

このとき重要なのは、単なる書類の中継ではなく、日本での権利化方針と米国での手続きの双方を見ながら進めることです。どのような体制で現地代理人と連携するのかは、依頼前に確認しておきたいポイントです。

Office Actionなど出願後の対応

米国へ出願すれば、そのまま登録になるとは限りません。審査の過程では、審査官から拒絶理由などが示されるOffice Actionを受けることがあります。

その場合、内容を検討したうえで、反論するのか、請求項を補正するのか、どの程度権利範囲を維持するのかといった判断が必要になります。

ここでは、単に「拒絶を解消する」ことだけを目標にしないことが重要です。補正によって権利範囲を狭めすぎれば、登録できても事業上の価値が十分でなくなる場合があります。

出願段階から、審査対応まで相談できる体制かどうかを確認しておくと、その後の判断がしやすくなります。

開口国際特許事務所の米国特許出願支援

 

開口国際特許事務所では、日本国内だけでなく外国への特許出願にも対応しています。米国への出願では、制度だけでなく、技術内容、英語対応、事業展開まで含めて整理することを大切にしています。

発明把握から英文対応まで一貫して考える進め方

特許出願では、発明の内容を正確に理解し、それを文章として表現する工程が重要です。

当事務所では、長年の特許実務経験をもとに発明の技術的内容を把握し、出願書類の作成を進めています。また、代表弁理士は本田技術研究所の特許部門での勤務経験があり、技術と知的財産の双方に携わってきました。

海外出願についても、単に書類を翻訳して外国へ提出するのではなく、その発明をどの市場で、どのように守る必要があるかを確認しながら進めます。

米国だけに出願するのか、他国への出願も視野に入れるのかが決まっていない段階でも、まず状況を整理するところからご相談いただけます。

米国を含む海外出願の対応実績

当事務所は、米国、カナダ、欧州をはじめ、さまざまな国・地域での知的財産権の登録に携わってきました。材料加工機械、生産・組立機械、一般機械、運輸、半導体、金属、非金属材料、プラント、工作機械などの分野にも対応実績があります。

海外案件では、国内出願以上に「どの国で何を守るのか」という事業上の整理が必要です。

米国だけに出願する場合と、米国を含む複数国に展開する場合では、検討すべきルートも変わります。私たちは、出願手続きだけを切り離して考えるのではなく、発明の活用や海外展開も踏まえて出願方針を検討することを大切にしています。

無料オンライン相談で整理できること

米国特許出願を検討していても、最初から出願方法を決めておく必要はありません。

「日本で出願したが、次に何をすればよいか分からない」「米国だけなら直接出願でよいのか」「PCTを利用した方がよいのか」といった段階から整理できます。

開口国際特許事務所では、Zoomを利用した無料オンライン相談を実施しており、全国から相談できます。

特に、

  • 日本出願から12か月が近づいている
  • 米国と他国のどちらにも出願する可能性がある
  • パリルートとPCTで迷っている
  • 海外出願の費用構成を確認したい
  • 英文明細書や米国代理人とのやり取りに不安がある

といった場合は、期限が迫る前に現在の状況を整理しておくと、その後の選択肢を検討しやすくなります。

アメリカへの特許出願に関するFAQ

 

日本で出願した特許をそのままアメリカでも使えますか?

日本で取得した特許権が、そのまま米国でも同じ効力を持つわけではありません。特許権は原則として権利を取得した国・地域で効力を持つため、米国で特許による保護を求める場合には、米国での権利取得に向けた手続きが必要です。

日本で先に出願している場合には、その日本出願を基礎として米国へ出願する方法があります。重要なのは、日本出願の日付を確認したうえで、利用可能な出願ルートと期限を整理することです。

日本出願から11か月経っていても米国出願は可能?

日本出願を基礎として優先権を主張する米国出願を検討する場合、一般に最初の出願から12か月という期限が重要になるため、11か月経過している場合は早急な確認が必要です。

出願書類や翻訳の準備にも時間がかかります。「あと1か月ある」と考えて準備を後回しにせず、日本出願日と現在の書類状況を特許事務所へ伝え、どの手続きが可能か確認することをおすすめします。

期限との関係は案件ごとに確認が必要なため、直前の場合は特に自己判断で進めないことが大切です。

アメリカだけならPCTを使わない方がよい?

必ずしもそうとは限りませんが、米国だけに出願することが明確であれば、日本出願から米国へ直接出願する方法とPCTを利用する方法を比較する価値があります。

一方、「現在は米国だけを考えているが、今後中国や欧州にも展開する可能性がある」「まだ進出国を決められない」という場合は、PCTを利用する意味が変わってきます。

現在の対象国だけでなく、今後の海外事業計画まで含めて判断する方が適切です。

米国仮出願を利用する場合の注意点

仮出願は、名称だけを見ると「簡易的に出願して、後から詳しい内容を書けばよい」と受け取られやすい制度ですが、最初に提出する内容は重要です。

後の通常出願で権利化したい技術的内容について、仮出願時の書類に十分な記載がなければ、期待した形で早い出願日の利益を利用できない可能性があります。

そのため、仮出願を選ぶ場合でも、どの技術内容を記載するかを慎重に検討する必要があります。特に製品発表や展示会などが近い場合は、公開日程も合わせて相談すると判断しやすくなります。

出願後に拒絶理由通知が届いた場合の対応

拒絶理由通知を受けても、その時点で必ず特許取得ができなくなるわけではありません。

審査官が示した理由を確認し、必要に応じて意見書や補正などで対応します。ただし、どこまで補正するかによって将来の権利範囲が変わることがあるため、「登録だけを目指せばよい」と単純に考えることはできません。

自社製品や競合技術との関係を見ながら、必要な権利範囲を検討することが重要です。出願前に、Office Actionへの対応やその際の費用についても確認しておくと安心です。

アメリカへの特許出願を検討する方への確認ポイント

  • 日本で取得した特許権が、そのまま米国でも有効になるわけではありません
  • 米国への主な出願方法には、パリルート、PCTルート、米国の仮出願などがあります
  • 米国だけに出願する場合は、米国への直接出願を含めて比較することが重要です
  • 複数国への展開や出願国を決める時間が必要な場合は、PCTが検討対象になります
  • 日本出願を基礎に優先権を利用する場合は、一般に最初の出願から12か月という期限が重要です
  • 日本出願から時間が経っている場合は、残り期間を最初に確認してください
  • PCTは世界共通の特許を取得する制度ではなく、最終的には各国で手続きを進めます
  • 仮出願では、後に守りたい技術内容を最初の段階で適切に記載することが重要です
  • 米国特許出願の費用は、翻訳、庁費用、現地代理人など複数の項目に分かれます
  • 出願費用だけでなく、Office Action対応や登録後の費用まで確認することが大切です
  • 英文明細書では、単なる直訳ではなく技術内容と権利範囲を適切に表現する必要があります
  • 米国代理人との連携方法も、特許事務所を選ぶ際の確認ポイントです
  • 出願国、日本出願日、公開予定、海外展開時期を整理すると相談がスムーズです
  • 開口国際特許事務所では米国を含む海外出願に対応し、無料オンライン相談を実施しています
  • パリとPCTで迷っている場合や期限が近い場合は、早い段階で状況を整理することが重要です